緑の丘の不思議な土の山に、小さな扉がついています。うねる道を下ってドアを開けたら、そこにはホビットさんかジャバウォックが、お茶をどうぞ、なんて迎えてくれるのでは?そんな絵本の世界に紛れ込んだような外観、多治見市モザイクタイルミュージアムを訪ねました。
世界的な建築家、藤森照信氏の奇想天外な建物。
モザイクタイルミュージアムは、多治見市笠原町の街なかに突然とあらわれます。もっと広大な場所を想像していましたが、行ってみたら敷地は思ったより小さめの印象。それなのになぜでしょう、すり鉢状に広がる緑の芝生のせいでしょうか。道を歩き始めると絵本の1ページの中に入り込んでしまったかのような世界感に圧倒されます。錯覚なのか、小さいと思った敷地なのに、入口のドアまでの距離が遠くに感じられて不思議。
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![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981105054_0484c001ce_z-1.jpg)
土の壁に小花のような模様。近づいてみるとタイルのかけらだったり、割れたお茶碗だったりします。
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空を見上げたら、月面着陸したパイロットの気分になりました。
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![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981105714_68200f0d14_z-1.jpg)
ドアばかりの写真集を見たことがあります。このドアもぜひ載せてほしい。思わずノックしたくなりますね。建物の中がチラリとでも見えないところが、逆に想像をかきたてられます。
![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981106774_df192b5a1e_z-1.jpg)
いよいよ中に入ってみました。振り返えるとこんな風景。
建物の内部もまた奇抜。
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ミュージアムに入って最初に目につくのがこのタイル貼りの車。ボディー全てドアミラーまで、余すところなくモザイクタイルで覆われています。
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受付カウンターで300円の入場料を払うと、見学順路は4階からとの案内がありました。1階のミュージアムショップは後にして、まずは上から見学します。中世のヨーロッパのお城?を思わせる階段。土の空間が妙に、気持ちが落ち着き和みます。
![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/30524490301_28f49762d4_z-2.jpg)
4階まで一気に上ぼるので息切れするかと思いきや、途中にあるオブジェを観賞するポイントあり。窓から明かりと照明が、柔らかく壁を照らし出す様子に癒されながら、さらに階段を上ります。
4階展示室でタイルの美しさを再確認する。
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4階展示室のドアを開けると、一瞬で白い光に包まれます。壁中、床まで白いタイルの部屋です。ほの暗い階段を上がってきたので、そのギャップがあるというか、青い空がすごく近く、しばし感動。写真では伝えきれません。
![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/30524492481_9385833d70_z-1.jpg)
丸い天窓からつり下げられたタイル。タイルってこんなにきれいだったけ?「ゲド戦記」の作者アーシュラ・K. ル=グウィンの「いちばん美しいクモの巣」っていう絵本があったけど、それを思い出しました。クモの巣についた朝露が、光にキラキラとダイアモンドのように輝く姿。普通みんな蜘蛛の巣は嫌いだけれど、見方を変えれば美しいのです。
形も色も異なるタイル、一個一個見てもきれいだけれど、ネックレスのように連なって、白い光に照らされています。タイルのそれまでとは違う美しさを見せられた気がします。
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![多治見市モザイクタイルミュー](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/30524499071_0e42f243ec_z-1.jpg)
展示品は、1995年頃から笠原町の有志が、全国から収集したタイル貼りの製品や、建物の一部を保存してきたものを、藤森照信先生が剪定されたとのこと。廃業してしまった銭湯のタイル絵、使われなくなったかまどなど展示されていました。
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![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/30524497631_d7956d04d6_z-1.jpg)
3階 味わい深いレトロなタイルたち。
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![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981124394_f7ac505971_z-1.jpg)
![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981126184_9b4975bcb7_z-1.jpg)
釉薬が厚く塗られたレトロなタイル。今では再現できない貴重な色のピースも見ることができます。
![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981128564_ed42e58e55_z-1.jpg)
笠原町が施釉磁器モザイクタイル発祥の地とのこと。そのタイルの原料が展示されていました。
2階 展示室は最新のタイル情報
![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981130944_dbe35924bf_z-1.jpg)
3階まではレトロなタイルを見てきたので、現代のタイルとの比較できて面白いです。
コンシェルジュカウンターでは、タイル選びや施工の相談もできるそうですよ。
1階 ミュージアムショップでお土産選び。
![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981134314_25d1190ac6_z-1.jpg)
タイルのコースターや植木鉢、表札などの制作キットが売っていました。キットでは物足りない方は、詰め放題500円コーナーもあり、別売りで目地材やトレーなどもありましたよ。これ、やり出したらハマりそうで怖い。
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古くて新しいもの。
![多治見市モザイクタイルミュージアム](https://f-imazine.com/wp-content/uploads/2016/10/29981130144_4e153f2dc9_z-1.jpg)
昔住んでいた昭和の家のお風呂に、タイルが貼られていました。床も浴槽もタイル。そのタイルのつるつるした冷たい感覚とともに、思い出されるのは、顔つけの練習。目がなかなか開けられず、やっと見た水中の世界は、ぼやけて良く見えなかったこと、いつまでも遊んでいて湯冷めすると怒られたことなどなど。レトロなタイルの中に、我が家のタイルに似たモノを見つけたので、今はないそのお風呂場がとても懐かしくなりました。
タイルは懐古的な感じもするけれど、現代に至ってもなお、デザイン的で面白い。新しい可能性を秘めた材料のような気がします。デコ感覚で意外なものに貼ったり、吊るしたり、自分で集めたお気に入りを、DIYでキッチンに貼ったり、ガーデンテーブルにしたり、モノ作りの夢はどんどん膨らみますよね。
モザイクタイルミュージアムは、建物がインスタばえすることから話題になっていますが、中身も見ごたえがあり楽しめます。ぜひ実際に訪れ、タイル空間を体感してください。言わずもがな、建物の目の前に立った時のスケール感はイチオシ。
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