森に棲むうっかり者のリスが、木の実をたくさん採ったところ食べきれず、あとで食べようと土に埋めて隠しておきました。ところが、どこに隠したか忘れてしまい、そのままになった木の実が、春になり芽を出し、何年かたって大きな木に育ちましたとさ。
こんな話は童話の中でのこと、そう思っていたあなた、これはリアルなお話。リスはまさに「木を植える人」だったのです。
世界遺産グアナカステ保全地域、消滅寸前の森が再生。
国土の9割だった森林が、30年ほど前に牧草地の開発で3割まで減少。1980年代に政府が森林を買い取って、再生させる政策に乗り出しました。
そこで一役かったのが、リスの仲間であるアグーチ。アグーチの好物は木の実で、食べきれなかった実を森のあちこちに埋めます。後から掘り起こして食べますが、中には忘れてしまったり、残念ながら埋めた本人が天に召されてしまったりして放置された実が、芽を出し、たくさんの木が育ったということです。
中米コスタリカ、グアナカステに住むリスの仲間、アグーチです(写真)。好物は木の実。愛嬌あります。 pic.twitter.com/dgDbWEsIBv
— 世界遺産 (@heritage_TBS) December 5, 2015
実は、このアグーチ、グアナカステの森の守り神とも言えます。そのワケは、今日午後6時からの放送で。 pic.twitter.com/0srGNVZ2cP
— 世界遺産 (@heritage_TBS) December 5, 2015
埋められた実が、木になるのはどのくらいだろうか?
農林水産省林野庁森林総合研究所の「研究の”森”から」に、二ホンリスによって運ばれたオニグルミの貯蔵と消費状況の資料がありました。
それによると、1992年の秋から2年にわたり、合計156個のオニグルミを追跡した結果、65個はすぐに食べられ、44個は木の上に、7個は土に埋められました。貯蔵された91個のうち,19個(20.9%)はその後アカネズミに盗まれてしまい、61個(67.0%)はリスによって回収。
木の上に貯蔵された物のうち、8個は風などで落下そのまま放置され、地面に埋められたもののうち3個は,実験を終了した春まで放置されました。結果、給餌されたくるみのうち11個(7.0%)は春に発芽の機会をもったわけです。
森林の自然の治癒力
もちろん、グアナカステ保全地域の森林再生に協力した動物は、アグーチだけでなく、実を食べて運ぶ鳥や他の生き物の働きもあってのことです。森は自らを再生する治癒力を備えていて、アグーチに忘れられた木の実も、そのしくみの一つというのが、何とも意味深いですよね。
世の中に不必要なものはないってことですね!もしかしたら、私が忘れっぽいことも何かの役に立っているってこと?う~ん実に意味深い、自信でてきた。
コメントを残す