忍者で有名な三重県伊賀市ですが、暮らしの道具を求め、信楽焼の窯元やギャラリーを訪ね歩くのも楽しいです。NOKAさんは、ギャラリー併設のカフェ。ほっと一息つきながら、心ゆくまで、ハイクオリティなモノと過ごすひとときでした。
こっそりと森の中に建つカフェ。
お店は伊賀上野駅から車で、422号線を20分ほど北上、森の奥にあるので道路からは見えません。うっかり通り過ぎそうになるので、「この看板」を見逃さないようお気を付けくださいね。
道沿いの駐車所に車を停め階段を上り、蝉しぐれの降ってくる緑の中を奥へと進みます。と、そこには時間に置き忘れられたかのような小さな小屋があります。
ガラガラと引き戸を開け中に入ると、土間に先客の靴が並んでおりました。スリッパに履き替えて上がります。
白く塗られたブロック壁、独特の風合いで存在感があります。無機質ながらも、コンクリート打ちっぱなしとは違う、「手」でつくられた温かみを感じます。
おしゃれな素材とは言い難いブロックが、扱い方次第で、こんなにアートな空間に変わるものなのですね。
無垢のテーブル、美しいファブリックの椅子。書棚までデザイン的です。
アンティークホワイトに塗られたカウンターテーブルに近づいてみると、美味しそうに並ぶクッキー。丁度お土産を探していたので、持ち帰ることにしました。
暮らしの中に取り入れる美しいモノ。
杉の無垢板の上を、すべすべ歩く心地良さを味わいながら、店内に置かれた雑貨巡りにいそしみます。
琺瑯のやかん、かた口のガラス器、機能的で使いやすそうです。しかも造形が美しい。ドレッシング作ってそのまま食卓に出せる便利さもあります。
デンマークのデザイナー、カイ・ボイスンのカトラリーです。
デンマーク王室ご用達で、50年間変わらないデザインというのも驚きですが、生産はステンレス加工の優れた技術をかわれ、91年より日本の新潟県のメーカーが行っているそうですよ。
毎日の暮らしのなかで使う道具だから、気に入ったものを使いたい。自分が美しいと感じるものは使っていて楽しい。
豆腐のように四角くて白いチーズケーキ、お皿の質感とベストマッチ。
珈琲と一緒にチーズケーキとイチジクのバターケーキをお願いしました。
このチーズケーキ、お豆腐のような四角形がとてもキレイです。カタチと味とお皿の質感、ピッタリな気がしました。
ギャラリーやまほんで、アートに暮らすインスピレーションを受ける。
お茶のあと、お隣に併設されたギャラリーへ向かいます。入口の看板はシンプルですが、中は結構広いです。
ギャラリー内、許可をいただき撮影させていただきました。展示品は、どれもシンプルなだけに、造形の美しさが際立ったものばかり。
生活雑貨がアートになる?そんな風に感じたのは初めてです。ひとつ、ひとつが、適度な空間を所有する力を持っています。
木の器は触ってもキンとこない温もりがあって好きです。滑らかな触感、机に置いた時の音、お箸やスプーンがコツコツ鳴らす音。ここに何を盛りつけるか、考えるだけでワクワクしてきます。
ギャラリーの奥に進むと、焼物だけでなく、ガラス、竹細工など、様々な作家さんの逸品が並べられています。
やまほんさんオリジナルデザインのシンプルで美しい食器も多々あり、とても魅力的でした。
ガラスの影が美しい、まるで水のような器です。この美しい影を活かしながら、どうやって使う?
石?繭?古代生物の卵?なかから出てくるものに想像が膨らみ、ちょっと何かわからない感が楽しい。
暮らしの道具が美しいことの意味。
アートって何かなって思います。生きていくのに必須ではないですよね。
暮らしの道具も、大抵のものは100均で揃うし、美しさは必須ではなく、ただ機能すればよいものかもしれません。
でも、お気に入りのカップで珈琲を淹れることで、ひと息つく瞬間がちょっと贅沢に感じるとか、料理が楽しくなるお鍋とか、掃除が楽しくなるホウキとかも確かにあります。
そんな小さな幸せが、毎日の心のビタミンになるのかもしれませんね。
「物がとても美しく見える時は、その人の心が美しいからなのだと私は思います」
彫刻家 舟越保武
家の中に美しい暮らしの道具がある。
それは、何だかとても素敵なことではないかと思うのです。
カフェ ノカ
住所 三重県伊賀市丸柱1650
TEL 0595-44-1911
定休日 火曜(ただし祝祭日は営業、翌水曜が休業・併設ギャラリーの企画展がないときは月曜も休業)
営業時間 11:00~17:30(L.O.17:00)
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