緑の丘の不思議な土の山に、小さな扉がついています。うねる道を下ってドアを開けたら、そこにはホビットさんかジャバウォックが、お茶をどうぞ、なんて迎えてくれるのでは?そんな絵本の世界に紛れ込んだような外観、多治見市モザイクタイルミュージアムを訪ねました。



世界的な建築家、藤森照信氏の奇想天外な建物。

多治見市モザイクタイルミュージアム
モザイクタイルミュージアムは、多治見市笠原町の街なかに突然とあらわれます。もっと広大な場所を想像していましたが、行ってみたら敷地は思ったより小さめの印象。それなのになぜでしょう、すり鉢状に広がる緑の芝生のせいでしょうか。道を歩き始めると絵本の1ページの中に入り込んでしまったかのような世界感に圧倒されます。錯覚なのか、小さいと思った敷地なのに、入口のドアまでの距離が遠くに感じられて不思議。

多治見市モザイクタイルミュージアム 多治見市モザイクタイルミュージアム

土の壁に小花のような模様。近づいてみるとタイルのかけらだったり、割れたお茶碗だったりします。

多治見市モザイクタイルミュージアム

空を見上げたら、月面着陸したパイロットの気分になりました。

多治見市モザイクタイルミュージアム 多治見市モザイクタイルミュージアム

ドアばかりの写真集を見たことがあります。このドアもぜひ載せてほしい。思わずノックしたくなりますね。建物の中がチラリとでも見えないところが、逆に想像をかきたてられます。

多治見市モザイクタイルミュージアム

いよいよ中に入ってみました。振り返えるとこんな風景。

建物の内部もまた奇抜。

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ミュージアムに入って最初に目につくのがこのタイル貼りの車。ボディー全てドアミラーまで、余すところなくモザイクタイルで覆われています。

多治見市モザイクタイルミュージアム

受付カウンターで300円の入場料を払うと、見学順路は4階からとの案内がありました。1階のミュージアムショップは後にして、まずは上から見学します。中世のヨーロッパのお城?を思わせる階段。土の空間が妙に、気持ちが落ち着き和みます。

多治見市モザイクタイルミュージアム

4階まで一気に上ぼるので息切れするかと思いきや、途中にあるオブジェを観賞するポイントあり。窓から明かりと照明が、柔らかく壁を照らし出す様子に癒されながら、さらに階段を上ります。

4階展示室でタイルの美しさを再確認する。

多治見市モザイクタイルミュージアム

4階展示室のドアを開けると、一瞬で白い光に包まれます。壁中、床まで白いタイルの部屋です。ほの暗い階段を上がってきたので、そのギャップがあるというか、青い空がすごく近く、しばし感動。写真では伝えきれません。

多治見市モザイクタイルミュージアム

丸い天窓からつり下げられたタイル。タイルってこんなにきれいだったけ?「ゲド戦記」の作者アーシュラ・K. ル=グウィンの「いちばん美しいクモの巣」っていう絵本があったけど、それを思い出しました。クモの巣についた朝露が、光にキラキラとダイアモンドのように輝く姿。普通みんな蜘蛛の巣は嫌いだけれど、見方を変えれば美しいのです。

形も色も異なるタイル、一個一個見てもきれいだけれど、ネックレスのように連なって、白い光に照らされています。タイルのそれまでとは違う美しさを見せられた気がします。

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展示品は、1995年頃から笠原町の有志が、全国から収集したタイル貼りの製品や、建物の一部を保存してきたものを、藤森照信先生が剪定されたとのこと。廃業してしまった銭湯のタイル絵、使われなくなったかまどなど展示されていました。

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3階 味わい深いレトロなタイルたち。

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釉薬が厚く塗られたレトロなタイル。今では再現できない貴重な色のピースも見ることができます。

多治見市モザイクタイルミュージアム

笠原町が施釉磁器モザイクタイル発祥の地とのこと。そのタイルの原料が展示されていました。

2階 展示室は最新のタイル情報

多治見市モザイクタイルミュージアム

3階まではレトロなタイルを見てきたので、現代のタイルとの比較できて面白いです。

コンシェルジュカウンターでは、タイル選びや施工の相談もできるそうですよ。

1階 ミュージアムショップでお土産選び。

多治見市モザイクタイルミュージアム

タイルのコースターや植木鉢、表札などの制作キットが売っていました。キットでは物足りない方は、詰め放題500円コーナーもあり、別売りで目地材やトレーなどもありましたよ。これ、やり出したらハマりそうで怖い。

多治見市モザイクタイルミュージアム

古くて新しいもの。

多治見市モザイクタイルミュージアム

昔住んでいた昭和の家のお風呂に、タイルが貼られていました。床も浴槽もタイル。そのタイルのつるつるした冷たい感覚とともに、思い出されるのは、顔つけの練習。目がなかなか開けられず、やっと見た水中の世界は、ぼやけて良く見えなかったこと、いつまでも遊んでいて湯冷めすると怒られたことなどなど。レトロなタイルの中に、我が家のタイルに似たモノを見つけたので、今はないそのお風呂場がとても懐かしくなりました。

タイルは懐古的な感じもするけれど、現代に至ってもなお、デザイン的で面白い。新しい可能性を秘めた材料のような気がします。デコ感覚で意外なものに貼ったり、吊るしたり、自分で集めたお気に入りを、DIYでキッチンに貼ったり、ガーデンテーブルにしたり、モノ作りの夢はどんどん膨らみますよね。

モザイクタイルミュージアムは、建物がインスタばえすることから話題になっていますが、中身も見ごたえがあり楽しめます。ぜひ実際に訪れ、タイル空間を体感してください。言わずもがな、建物の目の前に立った時のスケール感はイチオシ。

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ABOUTこの記事をかいた人

まちよ

絵描き、日本美術院・研究会員。幼い頃から動物、植物、昆虫など小さく可憐な生き物が大好き。日々の暮らしをクロッキーや水彩で綴ってます。私の作品を集めた公式WEBサイトもご覧ください。